原料の安さから手堅く、利益率の高い商売ができるとされている「粉モノ」飲食店。
粉モノ系の中でも代表的な業態のひとつがお好み焼き屋です。
このページではお好み焼き屋の独立開業を目指している方へ、お役立ち情報をお届けします。
目次
粉モノの中でもお好み焼きは、もっとも安定経営しやすい業態といわれています。
その理由を7つほど挙げてみました。
メインとなる材料の小麦粉は安価で入手することができます。
また大量に仕入れた場合でも保管ができるので、ロスが出ません。
飲食の原価率は通常30〜35%ですが、お好み焼きは20〜25%といわれています。
店内でお好み焼きを提供する場合、お客さんに目の前の鉄板で自分で焼いてもらうことになります。
よって他の業態の飲食店に比べ、人件費を節約可能です。
お好み焼きの販売方法のひとつに、テイクアウト(お持ち帰り)型があります。
テイクアウトの場合調理用の鉄板さえ置ければよいので、開業資金がさほどかからない狭小なお店でも営業が可能です。
昼はランチ、夜は家族の食事や酒のおつまみに。
さらには昼と夜の隙間時間や深夜でも、“おやつ”になるなど1日中が営業タイムとなります。
どのような属性でもお好み焼き屋のお客さんになりえます。
男性客ならサンダル履き、女性ならノーメークで気軽に買いに行ける点も利用者増につながります。
お好み焼きは技術的にもそれほど緻密な熟練度を必要としません。お客さんが自分で作れるほどです。
よって職業的な調理経験が無くとも、レシピの質でカバーできます。
広島風や関西風、東京風などといったスタイルや、具に入れる食材などでメニューに幅を持たせ、商品のラインナップを充実させられます。
以上のメリットをまとめるとローコストで立ち上げられ、利益率の高い商品を多くの人に食べてもらえることがお好み焼き屋経営の強みということになります。
もちろん一方でデメリットとなる注意点もあり、こちらは後述します。
「お好み焼き屋」開業までの一般的なスケジュールをまとめています。
開店の意志決定 | 情報収集を行い、基本的な経営の方向(業種、業態、資金手当て)を決定 |
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資金調達 | 保証金、家賃、内外装費、什器備品、食器、音響、電話、印刷物、給料、装飾品、ユニフォームなどの開設費用及び、運転資金を調達 |
立地調査 | 立地条件によってお好み焼き屋経営が成り立つか、どのような形態が向いているかを調査 |
立地の決定・契約 | 契約書はよく確認し、不明点をなくす。口約束はNG |
内外装プランニング | |
施工業者選定 | 専門業者から多くの情報を集める。経験豊かな業者を選ぶ事がポイント |
施工業者の決定 | 概算見積書をとり、検討 |
基本設計の決定 | 保険所、消防署の規制に注意し、デザイン、レイアウト、材質等を細かくチェック |
保健所事前確認 | 展開図を管轄の保険所に持参し、食品衛生法のチェックを受ける |
消防署事前確認 | 展開図を管轄の消防署に持参し、消防法のチェックを受ける |
火元責任者確認 | 所轄の消防署で講習開催日を確認し、受講 |
営業許可証の申請 | 飲食店営業許可が必要です。保険所の衛生課食品衛生担当に申請 |
衛生責任者確認 | 所轄の保険所で講習開催日を確認し、受講 |
建築基準法確認 | 所轄の役所で確認 |
風俗防止条例確認 | 所轄の警察署で確認 |
内外装工事開始 | |
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従業員募集 | アルバイト・パート募集の場合は、求人雑誌など利用 |
仕入業者の決定 | 信用・商品品質また、配送条件などを確認 |
印刷物関係制作 | 印刷物の手配発注 会計伝票・案内状、メニュー、サービス券、チラシ、テーブルマットなどを発注 |
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什器備品選定購入 | |
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保健所許可申請 | 飲食店を営む場合必要。「飲食店営業」で申請 |
工事完了 | |
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保健所立入検査・消防署立入検査 | 改めて実際に検査を受け、営業許可書を交付 |
特別徴収義務者登録 | 所轄の税務署で登録を行い、 メニュー、営業許可書を持参し、公級領収書の使用・不使用の指示を仰ぐ |
原材料搬入 | 保存性のきく原材料は店内に搬入し、生鮮食品は冷蔵・冷凍設備に動作確認後搬入 |
最終チェック | メニューの試作・試食を行い、原価・調理・品質管理等を考慮 |
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モデル店舗を開業するにあたっての必要な設備と資金を、下記に算出しました。
店舗面積 |
13坪(42.9平方メートル) |
---|---|
収容客数 |
28名 |
外装・看板 | 50万円 |
---|---|
内装工事費 | 180万円 |
ホール備品 | 100万円 |
椅子・テーブル | 100万円 |
厨房器具 | 80万円 |
厨房備品 | 50万円 |
照明器具 | 30万円 |
給排水工事 | 30万円 |
令暖房器具 | 80万円 |
電気配線工事 | 20万円 |
合計 | 720万円 |
保証金・敷金 | 195万円 |
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開店費用一切 | 100万円 |
店舗づくりの経費 | 50万円 |
開店に必要な経費 | 50万円 |
手許資金 | 50万円 |
合計 | 345万円 |
養生費と片付け | 30万円 |
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雑工事 | 20万円 |
工事諸経費 | 30万円 |
合計 | 80万円 |
開業資金合計目安額1,145万円
開業資金を自己資金で全て賄えればよいのですが、大半は資金調達を行うケースがほとんど。
ここではお金を集められる方法を紹介します。
親族や親しい知人から借りる場合は、「創業時の資本出資」なのか「起業時の融資(借金)」なのかといった、資金の名目を必ず明確にしましょう。
また融資の場合、正式な契約書を作成するべきです。
複数人で資金を持ち寄り、共同で事業を始めるスタイル。
親族以外での共同経営による起業の場合は、共同経営を解消したい場合の取り決めをしっかり文書化しておく必要があります。
銀行や信用金庫などのような民間の金融機関から融資を受ける事は、すでに他の事業で取引がある場合を別にして、新しく飲食店を始める人にとってはかなりハードルが高いです。
現実的には開業後実績を作ってから、融資を受けることが可能になります。
飲食店で起業する人の多くが利用するのは、日本政策金融公庫のような公的な金融機関からの融資です。
公的金融機関から資金調達する場合には、事前にスケジュールを立てることが重要。
また飲食店の融資申請は、実際に開業する店舗物件に対して行うので、「融資を申し込んで審査に通った後にゆっくり物件を探す」という計画は立てられません。
「物件探し」と「物件契約」、そして「融資申請」という複雑な手順を同時進行で行わなければいけないのです。
都道府県や市町村など、多くの自治体では、独自の融資制度を設置しており、これを「制度融資」と呼びます。
実際には自治体が第三者の保証機関と連携して、融資自体は提携する金融機関から行われる仕組みになっているのが一般的です。
返済しなくてもよい資金として、国や自治体が実施している補助金や助成金があります。
ただし補助金や助成金の申請には、明確な前提条件あるのです。
補助金や助成金は実際にかかる費用を申請者が負担したうえで、その金額の一部を補てんする形で支払われる仕組み。
そのため手元に全く資金がない場合は、役に立たないのです。
株式の公開を前提とした事業では、ベンチャーキャピタルや個人投資家(エンジェル)などから融資を受けられる可能性があります。
飲食店でも株式公開を前提とした起業が増えていますが、融資を受けるためには非常にレベルの高い事業計画が要求され、専門家のアドバイスが必要になるでしょう。
クラウドファウンディングは群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語。
インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を募る方法です。
返金の必要はありませんが、お礼のメッセージを送るなどの形でリターンを行っていきます。
それぞれの融資を受ける方法の特徴を知り優先順位をつけて、リスクの少ない方法から借入れを行っていきましょう。
お好み焼きを開業するにあたり、下記2つの資格を取得することになります。
ただし取得自体はさほど難しくはありません。
開業時に必須となる資格は「食品衛生責任者」のみ。
ただし栄養士(調理師)といった資格があれば、食品を衛生的に取り扱う知識があるという証明になり、開業時にはそのまま食品衛生責任者として認められます。
また資格を保有していない場合でも、保健所などで1日講習を受ければ資格を取得可能です。
建物の収容人数が30人を超え、のべ面積が300u未満の店を開業する場合に必要な資格です。
火災予防のために必要な業務を推進する責任者であり、財団法人日本防火協会の講習を受講(1日5時間程度×2日間)することで取得できます。
個人として営業を行う場合の、届け出先と提出書類をまとめています。
届出先 | 提出書類 |
---|---|
保健所 |
・営業許可申請書 |
税務署 |
・個人事業の開業届出書 |
各都道府県税事務所 | ・開業等届出書 |
年金事務所 |
※従業員5人未満は任意加入 |
ハローワーク |
※従業員を雇用する場合 |
労働基準監査署 |
・保険関係成立届 |
消防署 |
・防火対象物使用開始届出書 |
お伝えしたように飲食店を開業する場合、消防署に次の書類を提出する必要があります。
ただし留意しておきたい点が2つあります。
・通常、施工業者が提出する
・従業員の数も含め、収容人数が30人未満の場合、届出の必要はない
不明点や相談がある場合、施工業者に確認を取るようにしましょう。
防火対象設備使用開始届を提出すると、開業時に消防検査が実施されます。
消防検査では、主に次の点がチェックされます。
こちらも施工業者と相談し、問題がないか否か事前に確認するようにしましょう。
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「当たれば儲かる」といわれているお好み焼き屋さん。
それでは実際の所、どの位の利益が出るものなのでしょうか。
先述したモデル店舗をベースにした収支モデルを、下記にまとめてみました。
項目 | 金額 | 詳細説明 |
---|---|---|
売上高 | 3,960万円 | 単価2200円×客数60名×営業日数25日×12カ月 |
売上原価 | 1267.2万円 | 32% |
売上総利益 | 2692.8万円 | 68% |
経費合計 | 2,069万円 | |
給料 | 900万円 |
従業員月25万円×12カ月=300万円 |
福利費 | 48万円 | 4万円×12カ月 |
消耗費 | 144万円 | 12万円×12カ月 |
光熱費 | 480万円 | 30万円×12カ月 |
家賃 | 288万円 | 24万円×12カ月 |
減価償却費 | 120万円 |
外装・看板 50万円÷10年=5万円 |
その他の経費 | 120万円 | 10万円×12カ月 |
営業利益 | 623.8万円 | 売上総利益-経費合計 |
営業外支出 | 24万円 | |
経常利益 | 599,8万円 | 営業利益-営業外支出 |
経常利益で年収約600万円。サラリーマンの年収をやや上回るといったところ。
標準的な店舗のモデル収支ですので頑張ればまだまだ伸びますし、減価償却が終われば利益はさらにアップします。
後はいかにコストを抑え、客単価や来客数を伸ばすかがキーになるのです。
良いことづくめのお好み屋開業ですが、一方でもちろん注意しなければいけない点も存在します。
お好み焼き屋のデメリット。それは客単価が低く、回転率も悪いという点です。
お好み焼きはお腹にたまりやすく、ひとりでたくさんの個数を注文するというわけではありません。
また自分で鉄板で焼くというスタイルからお客さんの滞在時間が長く、回転率が悪いのです。
まず客単価を上げるための方法としては、ドリンクメニューやデザートなどのサイドメニューを充実させること。
お好み焼きもバリエーションを持たせることで、複数購入するお客さんが出てくるかもしれません。
また回転率を改善するには、思い切ってテイクアウト専門店にするという方法もあります。
テイクアウトであればお客さんは待たずにお好み焼きを購入することができ、さらに鉄板1枚あれば省スペースで運営可能というメリットも。
2つの課題を解決するための策を、開業前に考えておくとよいでしょう。
お好み屋の経営で成功するために、下記の3点について留意すべきです。
たとえば関西や広島などは競合店が多い地域として知られています。
ただし一方で、お好み焼きを食べる人も同様に多いのです。
よって競合店が少ないからという理由で出店しても、お好み焼きを食べる習慣がないエリアなのかもしれません。
お好み焼きを食べる習慣がない人達にも、リピート客になってもらう工夫が必要です。
そのためには他のジャンルの飲食店とも競合することを考えましょう。
地域の特徴によって、お好み焼き屋を開業するコンセプトが違ってきます。
地域性とコンセプトの関係をよく考えるべきなのです。
開業する地域が明確になれば、お客様のターゲット層も絞り込まれます。想定する客層に喜ばれるメニューを開発していきましょう。
他に競合店が多いエリアでの出店であれば、お好み焼きの種類以外にも特徴を出す工夫が必要。
たとえばお好み焼き屋で繁盛して事例として、テイクアウト型のお店で、目の前で調理を実演して行列が出来るまでになったお店がありました。
新規のお客さんの開拓のため、プロモーションも積極的に行いましょう。
プロモーションの中でも特に意識しておきたいのが、インターネットによる口コミです。
口コミは信頼できる情報として、ジワジワと広まっていきます。
前提として口コミで広まった時に受け口となる、お店のホームページは最低限用意しておきましょう。
最近は格安でホームページやネットショップが作れるようになっています。コストを抑えながらも効果的にホームページ運営を行いましょう。
おすすめのホームページ作成サービスは下記の通りです。
お好み焼き屋の開業を検討するのであれば、フランチャイズに加盟するという方法もあります。
フランチャイズに加盟することで、下記のような支援を受けられます。
一方対価として加盟店は、フランチャイズ本部にロイヤリティ(契約料)を支払う必要があります。
フランチィズはすでに成功したビジネスノウハウを得られるわけで、メリットは大きいですね。
ここにひとつ興味深いデータがあります。それは生存率に関するデータです。
中小企業庁が出している『中小企業白書』によると、個人で独立・開業したお店が5年後も継続している確率はたったの約25%。
そして10年後となると約10%にまで激減してしまうのです。
対してフランチャイズ加盟店が5年後に生き残っている確率は約70%(社団法人日本フランチャイズチェーン協会「各年度のフランチャイズチェーン店舗数の統計データ」と、経済産業省の「我が国のフランチャイズの現状」の中のフランチャイズの廃業率を元に推計)。
圧倒的にフランチャイズ加盟店の方が生存率は高いのです。
「個人商店がチェーン店に押されて廃業する」というニュースはよく聞きますが、実際にデータとなって表れているというわけですね。
とくに飲食店経営の経験がない方は、フランチャイズ加盟もよく考えた方がよいでしょう。
実際にフランチャイズ募集を行っている会社をリストアップしてみました。
お好み焼 ここやねん |
・『京風(塩)もんじゃ』を武器に驚異的な実績を残している |
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お好み焼道とん堀 |
・ロードサイドを主体としたファミリーレストランタイプのお好み焼き業態 |
熱狂 道とん堀 |
・ステーキ×お好み焼きの食べ放題店 |
元祖東京いか焼き |
・利益率72%。オーナーの半数以上が女性 |
フランチャイズ募集を行っている企業は、下記のサイトから最新の情報を収集できます。まずは資料請求してみましょう。
運営実績15年以上のノウハウがあり、日本最大級のフランチャイズ募集情報を保有しています。本部で厳選した、オススメのFC企業を案内。
年収1000万円も目指せる、FC募集企業を豊富に用意。「低コストで安定した高収入を得たい」という方に向け、オススメのFC企業を紹介しています。
成長力の高いフランチャイズ本部をセレクトして、簡単に比較出来るようにしているサービス。常時100件以上のフランチャイズが掲載されています。
資料からは各企業がどのような売り方で成功しているのか、どのような収支モデルになっているのかなどを把握することが可能。
業界研究にうってつけであり、フランチャイズ加盟を検討するうえでの貴重な材料となります。
どんなビジネスであれ早く手堅く稼ぐ方法は、すでに成功している人やその道のプロの方から指導を受けるのが一番です。
しかし開業やフランチャイズ経営に関し「どのような方法で相談を受けられるのかわからない」という人もいることでしょう。
そこでオススメしたいのが、ココナラというサービスです。
ココナラはさまざまな分野で活躍している方から、スキルや知識を購入できるオンラインマーケット。
たとえばココナラで「開業」「フランチャイズ」で検索してみると、下記のような商品が販売されていました。
・超低金利無担保保証融資での飲食店開業相談します(500円)
・FCで独立したい方へ事業選定のサポートを致します(500円)
・フランチャイズ事業に学ぶ起業の仕方教えます(1,000円)
・開業に必要な新規・変更の手続きのお手伝いいたします(3,000円)
・プロのコンサルタントが開業支援から経営助言致します(5,000円)
いずれも「開業のプロ」といえる方々ばかりであり、独学では決して学べない貴重な経験に基づいています。
開業準備や経営においてアドバイスや指導を受けたい方は、ぜひ利用してみてください。
飲食店の中でも利益率が高く、「美味しい商売」というイメージがあるお好み焼き屋。
しかしながら1個あたりの利益額は小さく、売上個数を伸ばしていく必要があります。
そのため日々たくさんの商品をさばく体力も、大切な資質です。
日々の業務はけっして楽ではなく、お好み焼きに対する強い思い入れが必要。
お好み焼きは万人に受け入れられる食べ物であり、お客さんに受け入れられれば安定した経営が見込めます。
興味のある方は開業前に徹底的に研究をしてみてください。
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